穂積和夫さんの追悼文
穂積和夫さん!やすらかに。
我社にとっても恩人の穂積和夫さんが11月26日に多臓器不全で亡くなられたと訃報が入りました。享年94歳。穂積さんとはVANの創業者である石津家とのお付き合いから始まりました。晩年は着物と煙管を通してのお付き合。
穂積さんの洋服に対するダンディズムは誰もが認めるものですが、和装に関しても徹底していました。新聞の明治時代が舞台の連載小説の中で挿絵を描いていた時がありましたが、描いているうちに小唄に興味を持ち習い始めました。おさらい会に招かれたことがありますが、小唄の舞台でも粋なナリで佇まいも惚れ惚れするものでした。
私の着物姿のイラストも穂積さんに描いて頂きました。アメリカの展示会では大きなポスターとして壁面に飾られ、ドイツではステッカーが作られてヨーロッパの国々のパイプ店に配られました。お陰様で国内外の業者やパイプ愛好家で、初めて会う方でも「イラストの画とそっくりですね!」と言われます。また、2017年発行の柘製作所カタログの表紙も描いて頂きました。私の20才前後はアイビー全盛時代だった。当時のアイビーだった仲間に見せると驚くこと、驚くこと!今では自慢の種です。
また、お会いして最初の頃、「穂積先生」と言ったところ「先生?いらないよ」と言われました。本来は穂積先生とお呼びしたいのですが、この際の追悼文も先生ではなく、さん付けで書くことにしました。
最後にお会いしたのは、今年の6月に原宿で行われた石津祥介さんのお別れ会でした。 穂積さんは我々に粋なダンディズムを深く印象付けて亡くなられました。奥様もさぞお心落しだと思います。私にとっても「粋な師匠」が亡くなられたことは、心に大きな空白が出来たような感じです。心よりご冥福をお祈りいたします。合掌。