「チュービング大国・ドイツ」のたばこ環境
ヨーロッパのたばこを取り巻く環境は、日本と大きく違う。その理由は、たばこにかかる税金の違いである。
日本では「たばこ」といえば「シガレット」のことで、喫煙者の9割以上がシガレットを吸う。しかし、ヨーロッパではシガレットにかけられるたばこ税の高さゆえ、税率の低い手巻きたばこを好んで吸うという国もある。
たとえばドイツ。ここではシガレットが約7ユーロ(約900~1000円)もするため、喫煙者の約3割が手巻きたばこだ。その愉しみ方も一味違う。喫煙者の多くは.大きなパッケージのシャグ(葉)と、200本入りの巻紙を購入しておき、週末になると家でチュービングマシンを使って、たばこ作りにいそしむのだ。そしてシガレットケースに20本入れて働きに行くという日々を繰り返す。当然、コストバリューを考えてのことだ。――これがドイツは「チュービング大国」といわれる所以である。
そして、たばこ専門店の充実ぶりもドイツならでは。元々、ヨーロッパでは1都市に1つの大きな専門店があるが、ケルンにある「ピーター・ハインリッヒ」は別格だ。パイプ、たばこ、チュービング、葉巻の品揃えもヨーロッパ随一だろう。さらに店員のたばこに対する知識もすごい。その人に合ったたばこの選び方、お薦めのハウスブレンドなど、ソムリエと同様にお客にアドバイスできる造詣の深さを備えている。もちろんお客はテイスティングも可能だ。
そんな一般の喫煙者が愉しむチュービングや、専門店の姿を目の当たりにすると、ドイツにおけるたばこ文化の根深さをひしひしと実感させられる。